レポート71 / 2026.06.22
春の神保町ブックフェスティバル
初出店レポート【前編】

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神保町ブックフェスティバルといえば、本の街・神保町を体現する、言わずと知れた本のお祭り。今回は、自費出版のパレードブックスが、イベントの目玉「本の得々市」に初出店するまでをレポートします。

神保町ブックフェスティバルとは?

東京・神田すずらん通りを中心に、200以上のワゴンが並ぶ日本最大級の青空本市場。例年10月末の土日に開催され、出版社の謝恩価格本や希少本を購入することができる、本好きにはたまらないイベントです。

移転とあこがれ

2025年7月、パレードブックス東京支店が千駄ヶ谷から神保町に移転。長年のあこがれに今こそ手を伸ばすときが来た、とスタッフの誰もが感じていました。「私たちも、あのお祭りに参加したい」

イメージ過去の開催の様子

引っ越してすぐ運営事務局に参加を申し出たところ、滑り込みで出店が決定!一同、ワクワクが止まりません。しかし、ただ一つ気がかりなことがありました。過去に大阪オフィスで行った期間限定の「パレードブックスストア」を除けば、自社で刊行した本を販売するイベントへの参加は、全くと言っていいほど経験がなかったのです。
しかも今回出店するのは、例年10万人以上の本好きが訪れる超ビッグイベント。「自費出版の魅力を知ってほしい」「本を介してたくさんの人と出会いたい」「パレードブックスの認知度アップにもつなげたい」……。神保町の街に馴染むためにも、この出店にかける思いは並々ならぬものがありました。

しかし、何せノウハウがない。やる気だけで成功するとはとても思えません。思いつくだけでも、手をつけるべきことはたくさんありました。書籍の選定や価格設定、POP制作に、メルマガやSNSでの宣伝。そして何より気合いを入れたのは「お店づくり」です。
イベント開催は約3カ月後の10月25日(土)、26日(日)。すべては手探り!果たして準備は間に合うのか……!?

本気の店づくり

きっと、私たちの店舗を訪れてくださるのは「はじめまして」の方々がほとんど。
他にも魅力的なワゴンがたくさんあるなかでわざわざ足を止めていただくため、品ぞろえはもちろん、「パレードブックスって何だろう? 自費出版って、自由で楽しそうだな」と思ってもらえるような店構えにしたいと思いました。パレードブックスは、「デザインを本職とする出版社」。デザイナーの目の奥で炎が燃えます。

まずは市場調査。過去のブックフェスに限らず、国内外で行われるZINEフェスやブックマルシェなどの様子を調べました。どんな店構えが魅力的なのか、どんな工夫がされているのか…。
並べる本としては、小説、エッセイ、教育関連やデザイン関連の実用書、歌集、絵本など、さまざまなジャンルを取りそろえました。
どういう本が好まれるのかわからなかったということもありますが、自費出版ならではのバリエーションの豊かさと熱量を感じていただきたかったのです。
ワゴンの中は、木の棚を使って段差をつくることで、遠くからでも表紙が見えるように陳列しました。ただ本を置くだけではなく、棚差し・平積み・面出しとさまざまな並べ方ができるうえに、スタッフ手書きのPOPも映えます。

イメージお店の初期構想案。すでにお祭りっぽく楽しい雰囲気が伝わります。

お店のイメージがだいたい決まったら、看板や腰巻、パネル類の制作。「これからのことも見据えて、常連さんには『今年もあの看板を目指していこう!』って思ってもらえるものにしたいよね!」ということで、メインカラーはイエローとグリーンを基調にしたにぎやかなカラーリングで統一。

さらには、初めての試みとなるオリジナルグッズも制作しました。大きくて重い本でもたくさん入るトートバッグ、スマホカバーにもピッタリ挟めるステッカー。そして、いろいろなものに付けられる缶バッジ。実用性があって、スタッフ自身もほしい!と思えるような、パレードブックスらしいデザインに仕上がりました。

イメージ左)ついつい買いすぎちゃった……というときでも大丈夫。マチ付きでしっかりした素材のトートバッグ。
右)パレードブックスのキャラクター、ピーさんがあしらわれたステッカーと2種の缶バッジ。かわいい。

本業である本づくりの合間を縫って、店頭に立つスタッフのシフトを組んだり、キャッシュレス端末をレンタルしたり、備品の買い出しに行ったり…。とにかく、いいお店にしたい。その一心で、準備は猛スピードで進んでいきました。

雨、幻の初出店

しかし、開催当日の朝。分厚い雲の下を小雨がぱらついていました。
「これ、どうなるんだろう…」不安な気持ちを抑え、ひとまず会場に向かいます。

イメージ無情の雨……。

案の定、定刻に中止の連絡が。また、2日目も高い確率の雨予報であることから、開催は難しい旨があわせて伝えられました。残念ですが、本という絶対に濡れてはならない商品を扱うイベントにおいては、やむを得ない判断だったのです。
こうして、神保町へ移って初めて迎えた「第33回 神保町ブックフェスティバル」は、イベントとしても史上初、まさかの両日雨天中止という結末を迎えました。大阪から応援に駆けつけたスタッフたちも、事前に天気予報はチェックしていたものの、開催を信じてやってきた手前、ショックは隠せません。しかし、これまでの準備を振り返ると、そこにあるのは悔しいという思いだけではありませんでした。「本の街・神保町で、絶対にリベンジを果たす」。来年の秋を見据えて決意を固めたのです。

……数カ月後、運営事務局から届いた1通のメールが、事態を大きく変えることになるとも知らずに。
[後編へつづく]