レポート61/2018.10.05
気になるタイトル ファッション本編

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『服を買うなら、捨てなさい』『フランス人は10着しか服を持たない』など、耳に残るタイトルが多いファッション本。他にはどんなものがあるのか、あらためて調査してみると、なんだか個性的な珠玉のタイトルがどんどん出てきました。

有名人&タレント系

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『あっ、モデルかな? と思ったら私だった』

豊川月乃(ダイヤモンド社)
心と体が充実していれば、自然と理想のモデル像に近づけるということなのでしょう。「カリスマ性は勘違いから始まる」「腰から歩くと風が吹く」「可愛く見せる15連打」などなど、ワードセンスが素晴らしいです。

『服バカ至福本』

香取慎吾(集英社)
たった6文字なのに、どうしようもなく服が好きな気持ちがひしひしと伝わってくる、いいタイトルですね。Tシャツ付のため定価6,850円ともともと高めの価格設定ですが、現在はプレミアがついて相場は1万円を突破。

『地球はココです。私はコレです。』

滝沢カレン(光文社)
今もっともワードセンスが評価されている大物が、さすがのエントリー。モデルさんの本は「my style」のようにシンプルな英語か、『はまじのはじまり』(浜島直子さんの著書)のように、ニックネームを交えたものが多いのですが…完全に一線を画しています。地球をもちだすスケールはまさに規格外。

『なんでもよくなーい??が口癖』

武藤静香(幻冬舎)
ギャル系モデルにはこういったパターンも。人気のブログタイトルが由来です。開設から10年近く経った現在は大人の女性の魅力を身につけ、デザイナーとしても活躍されています。

『部長!ワイシャツからランニングがすけてます 男の器は服でつくる』

ドン小西(朝日新聞出版)
一見よくある軽めのエッセイという雰囲気。さぞかし部下的な方が書いた本かと思いきや、著者がドン小西さんとわかると破壊力が数倍にふくれあがります。

イメージ『あっ、モデルかな? と思ったら私だった』豊川月乃(写真上左)/『服バカ至福本』香取慎吾(写真上中)/『地球はココです。私はコレです。』滝沢カレン(写真上右)/『なんでもよくなーい??が口癖』武藤静香(写真下左)/『部長!ワイシャツからランニングがすけてます 男の器は服でつくる』ドン小西(写真下右)

ざっくり系

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『大きな服を着る、小さな服を着る。』

濱田明日香(文化出版局)
なんという言い切り感。とにかく強い意志を感じます。常人はちょうどいい服を着たくなるものですが、上級者はやはり違いますね。時にはタイトに、時にはオーバーサイズに。間違えて服が縮んじゃったときにもポジティブになれるかもしれません。

『服は、あなた。』

政近準子(マイナビ出版)
「アンパンマンは君さ」以来の衝撃。すごく哲学的です。

イメージ『大きな服を着る、小さな服を着る。』濱田明日香(写真左)/『服は、あなた。』政近準子(写真右)

『まっすぐ切って、まっすぐ縫うだけの服』

添田有美(西東社)
本のテーマ通りのざっくりしたタイトルですが、内容は充実。服飾専門の勉強をしていない人にとって服をつくるのは相当気合いが要るものですから、「これをするだけでいい」と心のハードルを下げてもらえると手に取りやすいですよね。『まっすぐ縫うだけで、ほめられ服』という本もあります。

『いつもの服をそのまま着ているだけなのに なぜだかおしゃれに見える』

山本あきこ(ダイヤモンド社)
「そんなことあるの!?」とついつい声が出ます。シンプルなアイテムでも、組み合わせが大事だということ。

イメージ『まっすぐ切って、まっすぐ縫うだけの服』添田有美(写真左)/『いつもの服をそのまま着ているだけなのに なぜだかおしゃれに見える』山本あきこ(写真右)

造語&語呂系

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『おしゃ修行』

辛酸なめ子(双葉社)
おしゃれの「れ」だけを省くという発想はありませんでした。でも、不思議と語感がいいですね。服屋さんに行くとついつい店員に気を遣ってしまう…。そんなおしゃれ弱者が語るおしゃれとは?

『ズームイン、服!』

坂口恭平(マガジンハウス)
これは言いたい!みなさんも、クローゼットを開けたときに使ってみてください。

『衣もろもろ』

群ようこ(集英社文庫)
コロモモロモロ。この言いたくなる感が素晴らしい。辛酸なめ子さんといい、売れっ子エッセイストはさすがにネーミングを心得ていますね。

イメージ『おしゃ修行』辛酸なめ子(写真左)/『ズームイン、服!』坂口恭平(写真中)/『衣もろもろ』群ようこ(写真右)

大人系

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イメージ『大人のおしゃれDo! & Don't ババア上等! 余計なルールの捨て方』地曳いく子、 槇村さとる(写真左)/『白いシャツは白髪になるまで待って』光野桃(写真右)

『大人のおしゃれDo!&Don't ババア上等! 余計なルールの捨て方』

地曳いく子、 槇村さとる(集英社)
この疾走感!まるでラップです。

『白いシャツは白髪になるまで待って』

光野桃(幻冬舎)
文芸書のような爽やかなタイトルですね。60代を迎えたファッションエッセイストがたどり着いた結論には「着回しはやめる」「デニムを死ぬまで着る」「試着はあきらめる」とかなり斬新なものも。

『おばあちゃんのオシャレ採集』

堀川波(幻冬舎)
おばあちゃんが服を採集するのではなく、おばあちゃんのコーディネートを採集してイラスト化した作品です。ご年配でも、驚くほど自由奔放なスタイルをされている方がいますよね。文中で「究極のわが道(マイウェイ)」と紹介されているのもうなずけます。

『終活ファッションショー』

安田依央(集英社)
まさか死に装束のファッションショーでは、と思ったらそのまさかでした。小説です。

イメージ『おばあちゃんのオシャレ採集』堀川波(写真左)/『終活ファッションショー』安田依央(写真右)

アウトロー系

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『お洒落極道』

島地勝彦(小学館)
『週刊プレイボーイ』『PLAYBOY日本版』の名物編集長、島地勝彦氏の連載をまとめたもの。あくまでお洒落道を極めているのであって、「極道のお洒落」「お洒落な極道」ではないのであしからず。

『コーディネート刑事(DEKA)・押田比呂美のスタイリング更生塾』

押田比呂美(小学館)
おしゃれを攻める極道がいれば、取り締まるデカがいます。「店員は99%お似合いですって言うのよ!」。そういわれてみれば。ベテランの言葉は説得力十分です。

イメージ『お洒落極道』島地勝彦(写真上左)/『コーディネート刑事(DEKA)・押田比呂美のスタイリング更生塾』押田比呂美(写真上右)/『着るか 着られるか』穂積和夫(写真下左)/『エルメスを甘くみると痛い目にあう』安田依央(写真下中)/『男のお洒落道 虎の巻 The Wearing Bible for Gentlemen』青柳光則(写真下右)

『着るか 着られるか』

穂積和夫(草思社文庫)
アイビーファッションの先駆者が綴る、メンズファッションのバイブル。短い言葉でファッションの奥深さをとらえた絶妙なタイトルです。

『エルメスを甘くみると痛い目にあう』

安田依央(集英社)
エルメスを甘くみようなどという方はかなり限られているのではないでしょうか。そんな少数派にもしっかり釘を刺すのが本書。伝統あるブランドを着こなすには、相応の努力が必要のようです。

『男のお洒落道 虎の巻 The Wearing Bible for Gentlemen』

青柳光則(万来舎)
男の~とつく本も多く出ています。タイトルは全体的にまじめですが、『男の美容武装』『男の着こなし最強メソッド 服は口ほどにものを言う』などやや武闘派のものも。

コンプレックス系

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イメージ『夫・彼氏のがっかりファッション改造計画』三村愛(写真左)/『お母さん、その服なんとかしよ!』あっこたん(写真中)/『ハゲを着こなす 〜悩みを武器にして人生を変える方法』松本圭司(写真右)

『夫・彼氏のがっかりファッション改造計画』

三村愛(ディスカヴァー・トゥエンティワン)
無頓着、あるいはこだわりの強すぎる男性を変える指南書。口で直接指摘しづらい人は、コレをこっそり本棚に差しておくという手も。

『お母さん、その服なんとかしよ!』

あっこたん(飛鳥新社)
思い当たる方は、書店で見かけたら足を止めてしまいそうな猛毒タイトル。人気ブログの書籍化作品で、PVもあります。

『ハゲを着こなす 〜悩みを武器にして人生を変える方法』

松本圭司(WAVE出版)
ストレートすぎる表現、ポップな表紙からは予想できないほど、アカデミックな内容です。悩みを受け入れて、ひとつのファッションととらえる。日本人にはまだまだ少ない斉藤さんマインドが、もっと浸透するといいですね。

数字系

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『田丸麻紀の春夏秋冬1000コーディネート』

田丸麻紀(大和書房)
ものすごいバリエーション。春夏秋冬どころか、毎日違う服を着たら2年9ヶ月もちます。

『38歳から着たい服 本当に似合うものだけ少量持つ』

福田麻琴(すばる舎)
年齢に関しては35歳、50歳といったキリのいい数字が使われることが多い中、あえてピンポイントを攻めたのがこちら。綿密なリサーチの結果でしょうか。別ジャンルでは『39歳からの本格アコースティック・ギター』といった本もあり、今後半端な数字ブームが来るかもしれません。

『運命の11着を選べると女の人生は動き出す』

MALIKA(サンマーク出版)
こちらも半端な数字。本の紹介文には「マイナス7歳に見える服選び」とあり、思わせぶりが止まりません。運命の11着。ちょっとRPGっぽいところも、アイテムを集めたくなっていいですよね。

『私の相棒定番88』

雅姫(集英社)
雅姫さんのお気に入り品を紹介した本で、『私の愛着定番77』の続編です。「相棒」の力強い語感、相棒なのに88もある、77の続編なのにまだ88もある、とよく考えると気になることが目白押し。

イメージ『田丸麻紀の春夏秋冬1000コーディネート』田丸麻紀(写真上左)/『38歳から着たい服 本当に似合うものだけ少量持つ』福田麻琴(写真上右)/『運命の11着を選べると女の人生は動き出す』MALIKA(写真下左)/『私の相棒定番88』雅姫(写真下右)

ファッションというジャンルは雑誌がかなり充実していますから、あえて本を手にとってもらうためにインパクトが必要です。意味深な短いタイトル、親しい存在に話しかけるような長いタイトル。思いきってオリジナルの言葉を入れるパターンもありましたね。ファッションにあまり興味がないという方も、本をきっかけに「おしゃ修行」してみてはいかがでしょうか?