レポート64/2018.11.28
祝!日本自費出版文化賞受賞記念 表彰式レポート
パレードブックスの母体である、株式会社パレード創立30周年を記念した周年誌『三〇周年大百科』(詳細は制作秘話を参照)が、なんと第21回日本自費出版文化賞グラフィック部門賞を受賞!10/6(土)にアルカディア市ヶ谷で行われた表彰式に参加しました。自分たちがスポットライトを浴びる日が来るなんて快挙。今回は表彰式の様子を、写真中心でカンタンにレポートしてみました(うれしいのでみなさんに見てほしいだけ、という…)。
日本自費出版文化賞って?
自費出版の本は年間数万点出版されるといわれています。自らの意思や主張を大切にしたからこその優れた内容、貴重な資料をまとめたマニアックなテーマ、こだわりの特殊なデザインなど、企画出版よりも優れたクオリティの作品も数多く存在します。とはいえ、大手出版社から大々的に宣伝されて注目されるような本に比べて、著者の努力が報われる機会はきわめて少ないのが現実です。日本自費出版文化賞は、そんな優秀な作品に光を当て、正当に評価することで、自費出版の文化を活性化する目的でつくられました。著者が費用を負担し、10年以内に出版された本ならどんな作品でも応募できます。
募集部門は「地域文化部門」「個人誌部門」「小説部門」「エッセー部門」「詩歌部門」「研究・評論部門」「グラフィック部門」の7部門。全部門を通じた大賞1点、部門ごとの部門賞/特別賞各1点が選ばれます。今回の応募総数は507点でした。
会場の様子
パレード代表の太田と、スタッフ数名が会場入り。展示コーナーには今回の受賞・入選作品、歴代の受賞作品が展示されていました。本屋さんに並んでいる最新刊に比べればさすがに落ち着いたデザインのものが多いですが、リング製本や巻子本(巻物)といった変わり種もありました。
そんな中、ひときわ異彩を放つのが、われらが『三〇周年大百科』です。1,000ページ近いボリューム、トレーシングペーパーの表紙カバー、天地を開けた特殊なレイアウトに、ナゾの袋とじ加工。どちらかといえば真面目な印象の本が多い日本自費出版文化賞史上では、なかなか珍しいポップな仕様かもしれません。
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表彰式の開始時刻が迫るとともに、緊張の面持ちで受賞者席に着く代表の太田(写真左)
部門賞はプレート付で飾られており、スタッフ一同あらためて誇らしい気持ちに。
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入賞・入選作品の中には、パレードブックスから出版された本も多数。
『晴耕雨医の村から』小暮太郎(写真上左)/『追憶 下弦の月』尾原重男(写真上右)/『保育園産の米』大阪誠昭会(写真下左)/『忍者の國 伊賀の王女 伊賀真里亞傳』誠司(写真下右)
表彰式
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グラフィック部門選考委員は、無印良品の立ち上げに関わったクリエイティブディレクター・小池一子さん(写真上)
表彰式の前には、選考の様子をまとめた動画が流れ、各部門を受賞した作品の寸評が述べられました。グラフィック部門最終候補11作から『三〇周年大百科』を選んだ理由について、デザイン面のほかに「自分史ならぬ『自分たち史』としても評価したい」と仰っていました。
今回は平成最後の節目の年。本賞の選考委員長も「自分史」の生みの親・色川大吉さんから、ジャーナリストの鎌田慧さんへ引き継がれました。社史が部門賞を受賞するのはおそらく前例のないこと。私たちがつくった「自分たち史」のような本が自費出版の新しい流れをつくれたら…。僭越ながら、そんな風に思いました。
表彰状のプレゼンターは代表理事の中山千夏さん。中山さんは著作80冊を数える作家であり、元祖マルチタレントとしてもおなじみです。華のある笑顔とハキハキ朗らかな話しぶりが、終始会場を楽しい雰囲気に演出していました。
賞状を受け取る太田の表情がぎこちない理由は「あとで中山千夏さんと写真を撮りたいな」と思っていたため。
受賞スピーチ
スピーチは特別賞、部門賞、大賞の順に行われました。グラフィック部門は7部門の中でも最後なので、太田の出番は大賞の前、つまり全体を通して最後から2番目です。
以前、表彰式に出席した際、「受賞者の方はなぜかみなさんスピーチがうまい」という感想をもちましたが、今回もみなさん驚きの実力。『おーい、中村くん ―ひきこもりのボランティア体験記―』の著者・中村秀治さんがひきこもりからボランティアに参加し、「被災地の孤独なお年寄りと閉じこもっていた自分を重ねた」という体験を話すと、会場は感動の嵐に。続く受賞者の方が涙に詰まってうまく話せないハプニングがありました。
障がいなんて言葉を跳ね飛ばすスーパーウーマン宮城さん、地元をテーマにした小説で舞台化が実現した住田さん、スピーチにかえてお母様への熱い想いを綴った詩集を力強く朗読した法邑さん。
すべては紹介しきれませんが、印象に残るスピーチの連続でした。
さて、いよいよ太田の番。
「最初に決めていたのは、1,000ページ近い存在感のある本をつくることだけ。本づくりというよりも、ものづくりに近い感覚で、みんなで大切につくりました。内容は、社員、元社員、協力会社、お客さんとの思い出がすべてです。30周年なのでバーコードを読み取ると「30円」になったり、酔っ払った自分の写真が載っていたり、と少しふざけたところのある本ですが、デザイン会社としてグラフィック部門で評価していただいたことは、本当に光栄です。これからも表現の自由を担保する自費出版の出版社として、良い本を送り出していきたいと思います」
スタッフも納得の熱いスピーチでした。
大トリは大賞に選ばれた『石川啄木と北海道 ―その人生・文学・時代―』の著者・福地順一さんのスピーチです。研究者の方なのでさぞかし重厚なお話になるかと思いきや、「啄木は26歳で夭折したから研究が楽だと思った」と不純な動機を語り、会場の笑いを誘っていました。
大賞に選ばれた『石川啄木と北海道 ―その人生・文学・時代―』福地順一
まとめ
太田のスピーチは思いのほか好評で、表彰式後の懇親会では受賞者や出版関係者の方にもたびたびお声がけいただきました。最後は念願の記念写真も達成。来年の第22回は、自費出版本の販売コーナーを設けるなど、さらにパワーアップされる予定です。自費出版サービス「パレードブックス」の作品、もしくはまた自分たちの本をつくって、授賞式に参加したいと思います。